ねじの規格は時代の流れとともに変化してきました。
大きい流れを概略記してみます。
ねじ規格の変遷 |
ねじの原理である「くさび」効果はローマ時代から考えられていましたが、ねじを作る方法が見つからず実際にあまり使用されていませんでした。 レオルドダビンチ(1452~1519)がねじの重要性に注目しねじの働きを応用した様々な装置を考案し、理論的に改良し始めました。 |
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18世紀 中頃 |
イギリス人のヘンリーモズレーが金属製のねじ切用の旋盤を開発します。 これにより金属製の同じねじを大量に作ることができるようになりました。 |
1841年 |
モズレーの弟子のジョセフ・ウィットウオースは多くのメーカーが各々勝手な規格で作成した規格を調べ「ウイットウオースねじ」としてねじの標準化規格を発表しました。 この標準化がイギリスから始まった産業革命に大きな貢献をし、イギリス製の機械の信頼性を高め、世界各国に輸出され、国際的なねじの標準として認められました。 |
1868年 | 1864年 アメリカのウイリアム・セーラースがウイットウオースねじに改良を加え「セラースねじ」として発表し、これが1868年に「アメリカねじ」としてアメリカ規格として正式に採用されました。 |
1885年 | イギリス規格としてウイットウオースねじ(インチ規格)が正式に決定されました。 |
1898年 |
1799年 フランスはメートル法を採用し、「SFねじ」規格を制定しました。 この規格は1898年、フランス、スイス、ドイツが協議し「SIねじ」として国際的規格として採用されました。 |
1940年 | 万国規格統一協会はドイツ、フランス、スイス、ソ連、スエーデン等の国の同意を得て「SIねじ」規格を基にして「ISAメートルねじ」の規格を制定しました。 |
1943年 |
軍需品のねじの互換性を図る目的でアメリカ、カナダ、イギリスの3国の間で共通のねじの規格が決められ「ユニファイねじ」として決定されました。 この規格は軍需品のみならず、一般民需品にも拡大されました。 |
1947年 | 第2次大戦後1947年に設立されたISO(国際標準化機構)で、国際的に互換性のあるねじ系列の確立をめざした結果、1957年の会議において、国際規格として「ISOメートルねじ」と「ユニファイねじ(ISOインチねじ)」を採用することに決定しました。 |
1965年 |
日本では1965年 日本工業規格(JIS)が改正され、一般的に「ISOメートルねじ」を使用し、航空機その他特に必要な場合は「ユニファイねじ」を使用することと定められました。 「ウイットウオースねじ」は使用できないこととなりましたが、従来の機械、建築等にはまだ使用されています。 |
規格 | 太さ | ピッチ | ねじ角度 |
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ウイットウォースねじ | インチ寸法 | 山数/1インチ(25.4mm) | 55° |
メートルねじ | mm | 山と山の距離(mm) | 60° |
ユニファイねじ | インチ寸法 | 山数/1インチ(25.4mm) | 60° |
参考・引用文献 : 日本規格協会 山本 晃 著 「ねじのお話」 1990年